<保育所>質、保てるの? 都市部認可園の基準緩和
入っている親は質をいうだろう。
入れなかった親はまず入れろというだろう。
引用URL:
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20091116ddm013100036000c.html
<保育所>質、保てるの? 都市部認可園の基準緩和
2009年11月16日(月)13:00
◇効果「限定的」、待機児童の解消ほど遠く
厚生労働省が全国一律の認可保育所の面積基準を東京などの都市部に限って時限的に緩和する方針をまとめた。待機児童の解消などが狙いというが、保育関係者からは「待機児童の解消には効果がない」「保育環境が悪化する」など疑問や懸念の声が上がっている。【山崎友記子】
◇現状でも国際的には「最低」/「問題は財源不足」
●終戦当時のまま
東京都江東区の神愛保育園。午前11時半、1歳児の昼食が始まった。10人が三つに分かれてテーブルを囲むが狭くて身動きが取れず、人数分の皿もテーブルに載せ切れない。
同園は、国の最低基準を満たした認可保育所だ。しかし、園庭もなければ、園児全員が集えるホールもない。
増える入所希望者に対応し、事務室や休憩室などもすべてつぶし保育スペースにした。それでも寝る部屋と食事の部屋は同じ。定員は3年前まで73人だったが待機児童解消のため78人に増員。今年4月からはさらに増やし80人受け入れている。
伊藤美代子園長は「子どもたちの生活を守るため、これ以上一人も増やせない。もし基準が下げられ人数が多くなれば、ひっかきやかみつきなど、確実に子ども同士のトラブルが増え、発達にも悪影響を及ぼしかねない。毎日10時間も過ごす保育園の環境がそれでいいのか」と訴える。
保育所の最低基準が制定されたのは1948年。当時の保育所は終戦直後の救貧対策という位置付けだった。その後、保育所の役割も広がったが、面積の基準は当時のままだ。
このため、全国社会福祉協議会は専門家らを集めた実証研究で、今年3月に報告書をまとめ、食事と午睡の空間を分けるため、2歳児未満は1人当たり4・11平方メートル以上、2歳児以上は2・43平方メートル以上必要であると提言した。米・英・仏などとの国際比較でも、日本の基準は最低レベルであると指摘した。
山梨大学の中村和彦准教授(発育発達学)は「4、5歳のころは遊びながら、生涯の基礎となる、さまざまな体の動きを獲得する時期。この時期にしか身につけられないものもある。スペースが限られると、子どもの自由な動きも制限されてしまう」と運動発達面から問題点を指摘する。
●詰め込みの懸念
面積基準の見直しは、地域の実情に合わせた基準にできるよう求めた全国知事会などの提言に基づく。待機児童の多い都市部で保育所整備に必要な土地・建物の確保が困難なことが背景にある。今年4月1日現在の待機児童は全国で2万5384人。首都圏、近畿圏を中心とした約100の市区町村だけで、その8割を占める。
しかし、基準緩和が待機児童対策に有効かというと、保育の「最前線」にいる市区町村や保育団体はかなり懐疑的だ。都内最多の613人の待機児童を抱える世田谷区の工藤郁淳保育課長は、基準を緩和しても効果は一時的とみる。「既存の施設は壁の位置ひとつ変えるのも簡単にはいかない。また認可保育所を数カ所増やした程度では、入所希望者の数からいってとても追いつかない。保育の仕組み全体を見直さなければ解決にはならない」と説明する。
増設の期待がかかる私立の認可保育所の団体、全国私立保育園連盟の川島克之政策局長も「基準を下げても保育園の新規建設は進まないだろう。問題は基準ではなく財源不足にあるからだ。このままでは既存施設への詰め込みになる」と警告する。
公立保育所は04年度以降に運営費・設備費が一般財源化された。国の「ひも付き」ではなくなり、自治体独自の保育ができると期待された。だが、結果的には財政難の市町村が保育予算を切り詰め、保育士の非正規化などが進んだ。保育関係者の間では「基準まで自治体任せになれば、財政事情が一層優先される」との見方が強い。
保育園を考える親の会の普光院亜紀代表は「待機児童問題は切実だが、子どもに好ましくない環境を選択せざるを得なくなるのは保護者の本意ではない。国の基準を満たした施設を増やすことが本来の対策だ」と訴える。
●「国の責任放棄」
今回の問題の底流には「最低基準」のとらえ方の違いがある。地方への権限移譲を求めた地方分権改革推進委員会の勧告は「最低基準」を国から地方への「義務付け・枠付け」(規制)と位置付けた。
しかし、保育関係者の多くは異なる考えだ。日本社会事業大学の金子恵美准教授(児童福祉)は「最低基準は、子どもの生活や発達を保障する最低限の水準であって規制ではない。国が基準を手放すことは責任放棄を意味する」と憤る。
厚労省は「保育の質などに深刻な影響が生じかねないものについては全国一律の最低基準を維持する」と主張しているが、例外を設けたことで矛盾が生じることになった。
入れなかった親はまず入れろというだろう。
引用URL:
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20091116ddm013100036000c.html
<保育所>質、保てるの? 都市部認可園の基準緩和
2009年11月16日(月)13:00
◇効果「限定的」、待機児童の解消ほど遠く
厚生労働省が全国一律の認可保育所の面積基準を東京などの都市部に限って時限的に緩和する方針をまとめた。待機児童の解消などが狙いというが、保育関係者からは「待機児童の解消には効果がない」「保育環境が悪化する」など疑問や懸念の声が上がっている。【山崎友記子】
◇現状でも国際的には「最低」/「問題は財源不足」
●終戦当時のまま
東京都江東区の神愛保育園。午前11時半、1歳児の昼食が始まった。10人が三つに分かれてテーブルを囲むが狭くて身動きが取れず、人数分の皿もテーブルに載せ切れない。
同園は、国の最低基準を満たした認可保育所だ。しかし、園庭もなければ、園児全員が集えるホールもない。
増える入所希望者に対応し、事務室や休憩室などもすべてつぶし保育スペースにした。それでも寝る部屋と食事の部屋は同じ。定員は3年前まで73人だったが待機児童解消のため78人に増員。今年4月からはさらに増やし80人受け入れている。
伊藤美代子園長は「子どもたちの生活を守るため、これ以上一人も増やせない。もし基準が下げられ人数が多くなれば、ひっかきやかみつきなど、確実に子ども同士のトラブルが増え、発達にも悪影響を及ぼしかねない。毎日10時間も過ごす保育園の環境がそれでいいのか」と訴える。
保育所の最低基準が制定されたのは1948年。当時の保育所は終戦直後の救貧対策という位置付けだった。その後、保育所の役割も広がったが、面積の基準は当時のままだ。
このため、全国社会福祉協議会は専門家らを集めた実証研究で、今年3月に報告書をまとめ、食事と午睡の空間を分けるため、2歳児未満は1人当たり4・11平方メートル以上、2歳児以上は2・43平方メートル以上必要であると提言した。米・英・仏などとの国際比較でも、日本の基準は最低レベルであると指摘した。
山梨大学の中村和彦准教授(発育発達学)は「4、5歳のころは遊びながら、生涯の基礎となる、さまざまな体の動きを獲得する時期。この時期にしか身につけられないものもある。スペースが限られると、子どもの自由な動きも制限されてしまう」と運動発達面から問題点を指摘する。
●詰め込みの懸念
面積基準の見直しは、地域の実情に合わせた基準にできるよう求めた全国知事会などの提言に基づく。待機児童の多い都市部で保育所整備に必要な土地・建物の確保が困難なことが背景にある。今年4月1日現在の待機児童は全国で2万5384人。首都圏、近畿圏を中心とした約100の市区町村だけで、その8割を占める。
しかし、基準緩和が待機児童対策に有効かというと、保育の「最前線」にいる市区町村や保育団体はかなり懐疑的だ。都内最多の613人の待機児童を抱える世田谷区の工藤郁淳保育課長は、基準を緩和しても効果は一時的とみる。「既存の施設は壁の位置ひとつ変えるのも簡単にはいかない。また認可保育所を数カ所増やした程度では、入所希望者の数からいってとても追いつかない。保育の仕組み全体を見直さなければ解決にはならない」と説明する。
増設の期待がかかる私立の認可保育所の団体、全国私立保育園連盟の川島克之政策局長も「基準を下げても保育園の新規建設は進まないだろう。問題は基準ではなく財源不足にあるからだ。このままでは既存施設への詰め込みになる」と警告する。
公立保育所は04年度以降に運営費・設備費が一般財源化された。国の「ひも付き」ではなくなり、自治体独自の保育ができると期待された。だが、結果的には財政難の市町村が保育予算を切り詰め、保育士の非正規化などが進んだ。保育関係者の間では「基準まで自治体任せになれば、財政事情が一層優先される」との見方が強い。
保育園を考える親の会の普光院亜紀代表は「待機児童問題は切実だが、子どもに好ましくない環境を選択せざるを得なくなるのは保護者の本意ではない。国の基準を満たした施設を増やすことが本来の対策だ」と訴える。
●「国の責任放棄」
今回の問題の底流には「最低基準」のとらえ方の違いがある。地方への権限移譲を求めた地方分権改革推進委員会の勧告は「最低基準」を国から地方への「義務付け・枠付け」(規制)と位置付けた。
しかし、保育関係者の多くは異なる考えだ。日本社会事業大学の金子恵美准教授(児童福祉)は「最低基準は、子どもの生活や発達を保障する最低限の水準であって規制ではない。国が基準を手放すことは責任放棄を意味する」と憤る。
厚労省は「保育の質などに深刻な影響が生じかねないものについては全国一律の最低基準を維持する」と主張しているが、例外を設けたことで矛盾が生じることになった。


